社会保険労務士で、株式会社HRbase代表の三田です。
労務相談プラットフォーム「HRbase」を提供しています。

企業の労務担当者や社会保険労務士には、「法改正対応が大変」という共通の悩みがあります。立場は違えど、同じ法改正に対して法律に沿った対応を進めるという目的は共通で、かつとても重要度の高い悩みではないでしょうか。

私は労務業界の課題をテクノロジーで解決できないかと心血を注いでAI開発を行っていますが、ご存知の通り法改正対応は複雑怪奇で、そう単純にAIで解決できるものではありません。

法改正の情報インプットは労務担当者の重要任務

2025年も多くの法改正が行われました。4月だけでも育児介護休業法、雇用保険法、高年齢者雇用安定法と続き、インプットだけでも相当の時間がかかったのではないかと推測されます。

厚労省の情報は、初見では必要なことが何かを拾いにくく、自社に必要な情報を吸い上げて資料を作成するというプロセスには多大なリソースが必要です。時間的なリソースだけではなく、その対応が正しいかどうかに気をすり減らすという、心理的なリソースも多く必要です。

この法改正対応の煩雑さや、対応リソースの負荷は、テクノロジーが進化してもなかなか解決されていないように感じています。

法改正の全体像と手順を知っていただくために

私たちは「HRbase」という労務管理に特化したAIサービスを提供していますが、導入検討中の企業さまや社労士の先生からはよく「法改正対応はどうなっていますか?」というご質問をいただきます。

そのようなご質問が来るのはごもっともで、法改正は重要な業務であるからこそ、AIで解決できるのか・・・?と思われていらっしゃるからでしょう。

それには、私たちもまったく同感です。仮にAIが「効率的に厚労省の情報を集めました」と言ったとしても、それだけで法改正対応ができるわけはないのです。

では、AIツールを提供する会社として、法改正対応のどの部分を担えれば労務担当者の仕事はラクになるのだろう。そう考え尽くした結果、いくつかの必要な要素を発見し、それをサービスの機能として提供できるよう工夫をしています。

機能例)労務マガジン

これは労務ブログのようなもので、法改正情報や旬のニュースを労務管理担当者が読んでわかりやすい記事に仕立てています。法改正に関するテーマでは、2025年2月には以下の2本をお届けしました。

【2025年度版】労務担当者が押さえておくべき法改正
◆ 2025年4月、介護離職防止のための新たな義務が発生します

AI開発の会社がこのようなコンテンツを配信するのには、法改正対応にはテクノロジーだけではなく担当者の理解も必要だということを重視しているからでもあります。そのため「網羅的、かつ具体的」な記事であることにこだわっており、全体像の理解に役立てていただけます。

機能例)労務管理ガイド

全体像の理解の次のステップとして「労務管理ガイド」を提供しています。労務担当者が法令等を踏まえ、抜け漏れなく対応するための流れが記載された機能です。たとえば2025年の育児関連の法改正に対しては「社内制度を整備するとき」「従業員対応をするとき」というタイトルのガイドを提供しています。

注意事項や関連資料、Q&Aも付いており、手続きの分岐も設定されているため、かなり具体的です。情報のご提供後に法改正があれば、施行日を基準に最新バージョンに更新をしています。

上記の機能の目的は、正しい情報を探し回る手間を省いていただくこと。
そのため情報を的確にまとめきり、人の手で編集してお渡ししています。

「AIツールだと思ってHRbaseを導入したら、驚くほど『人の目で精査された情報』が多かった」というお声をいただくこともありますが、それこそが私たちの目指す、本当に使える労務管理ツールのあり方です。繰り返しになりますが、労務管理はテクノロジーに任せきれるような簡単なものではないからです。

AIはあなたの検索能力を補強する

ここまで、私たちがいかに手作業の部分を重視しているかをお話しいたしましたが、それを紙の資料ではなくAIを通じて提供していること自体に付加価値があると自負しております。

経験豊富な方であれば「ほしい情報が本やネットのどこにあるのか」を知っており、ご自身の力で素早くアクセスできるかと思います。しかし昨今の情報ネットワークの変化は、もはやひとりの人間が把握しきれるものではありません。

だからこそ、「AIがデータベースから正しい資料だけを収集して提示する」という仕組みは、経験から得た検索能力を補強し、かつ「自力では調べきれなかった情報」までを網羅的に得ていただける、新しい方法なのです。

今までChatGPTなどを試してみて「正しい情報が出てこない」と思われた方にこそ、HRbaseを使ってみていただきたいと考えています。

法改正対応にもAIの活用を

日本の企業はこれからますます苦境に立たされるでしょう。採用の難易度は上がるけれど、魅力的な労働環境をつくらなければ事業自体が立ちゆかなくなっていきます。しかしこれらの課題は少しずつ解決に向かうと信じています。AIと人で協働し、知恵を結集していきましょう。

法改正対応は、人の最終チェックが必要な大切な業務であるとともに、労務管理業務のあり方を考えるよい機会でもあると考えています。

情報インプットの先にある本質的な仕事のために、業務の一部をHRbaseにお任せいただければ幸いです。